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更新日: 2012年11月21日

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私の父はまさに頑固親父。
子供たちのやる事なすこと口うるさく、全て否定。
その古臭い考え方がイヤでイヤで…。子供たちは大きくなるにつれて父から離れていった。話さなくなった。話すのもイヤだった。
それでも父は変わらず頑固で、本当に鬱陶しかった。
その父が私が高校三年の時に入院した。
こんな時、普通は心配で心配でたまらないはずなのに、うるさい父が家にいなくて心の中では喜んでいた。
だから子供たちはほとんど見舞いにも行かなかった。
母一人、毎日仕事の前、仕事の後に見舞いに行っていた。
母も子供たちの心の中の気持ちを察してか、家で父の事は話さなかった。

高校に電話があって、病院に呼び出された。
目の前の父は痩せ細り、あの頑固で強い、私の知っている父ではなかった。信じられなかった。

そしてそのまま父は亡くなった。

葬儀も終わり、落ち着いたら、自然と父の遺影の前に母と子供たちが集まり、みんな無言でボーッと父の遺影を見つめていた。
「お父さんね、同じ病室の隣の患者さんに、子供たちが喋ってくれない、本当に寂しいって言ってたみたいだよ。子供たちの事は大切で、心配でたまらないけど、自分の性格的に、上手く伝えられないから…って。
もう、ちゃんと歩けないのに、転んだらそのまま死んでしまうよって医者に言われてたのに、みんなの事が心配でたまらなくて、たくさん刺さってる点滴や、色んな管を全部抜いて、バスタオルに持てるだけの荷物を隠して、何回も病院を抜け出そうとしたりしてたんだよ…。
お母さんが、見舞いに行ったら、あんた達の事ばっかり聞いてきてね。
もう少しだけ、お見舞いに行ってあげて欲しかったな。お父さん、喜んだと思うよ~。」
と、母が話してくれた。

涙が溢れた。止まらなかった。子供たち全員大泣きだった。

そういえば、前に父と喋ったのはいつだろう…。思い出せないくらいだった。
「お父さん、ごめんなさい…ごめんね。ごめんね…」
今さら謝ったって、何を言ったってどうにもならないのに、謝る事しか出来なかった。

もう、10年も経つのに、ずっとずーっと後悔し続けている。父の事を思い出しては涙が出る。

何の償いにもならないけど、父が亡くなってから毎日、朝と夜に「お父さん、今日も一日に宜しくね。」「お父さん、今日も一日ありがとうね。」と声に出して言うようにしている。
何となく父が生きている気になれるから…。

でも、父はもう居ない。
親孝行は何も出来なかった。
だから、一人で苦労していた母に、たくさん親孝行できるようにしようと思う。
少しは父が喜んでくれるといいんだけど…